子宮外妊娠の可能性

タイミングなら妊娠判定は尿検査でも良いかもしれないが…..

夫婦でタイミングをとって生理が遅れたら、薬局で妊娠検査薬を買って尿検査をするというのはごく普通の流れですね。

これが体外、顕微受精ともなると、大抵の施設は血液検査によるβ- hcgの値を計測するのが主流かと思いますが、実際はまだ尿検査のみで妊娠判定をする施設もあります。

転院のご相談で私のカウンセリングにいらしたWさんが、以前通っていたクリニックの妊娠判定が尿検査だったが故に引き起こされたちょっと怖い話をご紹介いたします。

尿検査では妊娠判定は陰性だった

妊娠検査薬

14日前に凍結胚移植を終えたWさんはクリニックの妊娠判定に向かいました。

尿検査での判定は線が何もでずに陰性だったそうです。

残念に思ったWさんでしたが、気持ちを切り替え仕事に専念しました。

Wさんは、体を激しく動かすスポーツのパフォーマーでしたので、大好きな仕事に打ち込んでいたそうです。

少し出血したから月経だと思った

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ある日、出血があったのでWさんは生理が来たと思いました。しかし、なんとなく通常よりも軽い生理だと思ったそうです。

体をガンガン動かし、いつも通りに生活していたWさんに、とてつもない体の変化が訪れたのはその出血から三週間位たったあたりです。

大切なパフォーマンスの本番当日、お腹が浮き輪のように膨れてしまったのです。しかも、痛みもあります。

そこですぐに病院へいけばよかったのですが、プロのパフォーマーとして、本番は抜けられないと痛いのを我慢して仕事をしてしまったのです。

本番が終わった後、Wさんはとうとう動けなくなり救急車で運ばれました。

その、激しい痛みとお腹の膨らみの原因は「子宮外妊娠」でした。

子宮に移植したはずの受精卵はなぜか子宮と膀胱の間に着床していたのです。

そこで出血が始まりお腹が浮き輪のように膨れあがってしまったのです。

Wさんは緊急手術を受けて、一命をとりとめました。

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想像してください。

もしも、Wさんが痛みを我慢してそのまま家に帰り、助けを求められず気絶してしまったら、出血多量で亡くなっていた可能性もあるのです。

若い女性の子宮外妊娠破裂は、「腹痛」「盲腸」等と誤診されやすい疾患ですが、それ故に「若い女性の腹痛を見たら、必ず子宮外妊娠破裂も疑う事」と教科書に記載されています。

Wさんが元気になられて本当に良かったです!

あなたは「妊娠判定は陰性だったのに、なぜ?」と思いましたか?

陰性陽性

そこが、今回のテーマです。

もしも、Wさんが通っていた不妊治療クリニックが尿検査による妊娠判定では無く、血液検査による検査をしていたら、微量ながらβ-hcgが検出されたはずです。

しかし、尿検査の妊娠判定ではβ-hcgが微量なため陽性のラインが出るまでに至らなかったのです。

ですから妊娠判定は陰性となります。

これが血液検査で妊娠判定をするクリニックでしたら、どこで着床していようと、少しのβ-hcgが検出されます。

すると医師は化学流産か、万が一の子宮外妊娠を考えるわけです。

私の実体験ですと、胚移植後の血液検査による妊娠判定で微量のβーhcgが検出された時は、その数日後にまた血液検査をして、βーhcgが確実に下がったこと、すなわち子宮外妊娠ではなく、化学流産であったことを確認してからその周期の治療は終了となりました。

子宮外妊娠(異所性妊娠)は妊娠全体の1~2%の割合で起きる

このような事態が起こらないために、女性はどんなことに気を付けたほうが良いかまとめます。

自然妊娠の場合

①生理が遅れたと思ったら、生理予定日の1週間後くらいに妊娠検査薬をする。

② ①の時点で陽性反応がでたら、だいたい妊娠5週なので1週間以内に産婦人科に行き子宮内に胎嚢があることを確認してもらう

注意点 初めての妊娠ですと、緊張もあり早めに産婦人科に行く人が多いですが、二人目以降となると慣れもあり、「どうせ早くいっても心拍も見えないから8、9週までいかなくていいや!」と考える人がいます。

確かにその考え方もありますが、私の考えとしては先ずは子宮外妊娠の可能性がない事を確認するうえで妊娠5,6週あたりで胎嚢の確認をした方が安心だと思います。

体外受精、顕微授精の場合

① 施設選びをする時点で、施設内に血液検査の結果がすぐにわかる機械があるかどうかを確認しておく。

② 妊娠判定日に妊娠週数相当には全く足りていないが、少量のβーhcgが検出された場合で医師が何もあなたに今後確認のための診察を提案をしなかった場合は、勇気を出してこちらから「子宮外妊娠の可能性はどうですか?」と聞く。

③尿検査の妊娠判定で陰性だった場合でも、生理の様子がいつもと違ったり、激しい腹痛があった場合は産婦人科に行く。

このように、全てを医療側にまかせっきりにするのではなく、患者側も自分を守るため、安全な不妊治療を受けるためにはある程度の知識は必要です。

そのような、役に立つ知識をこれからもお知らせしていきたいと思います。



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